トピックス・アーカイブ

2021年

2021年10月4日

  
 木須伊織先生が令和3年9月に開催された第61回日本産科婦人科内視鏡学会学術講演会にて学会賞を受賞し表彰されました。

 本学会賞は発表演題の中で最も卓越した演題に対して授けられる名誉ある賞であり、約800演題という多数の演題数の中から木須先生の発表演題が選出されました。受賞演題は、「腹腔鏡下広汎子宮全摘術時におけるneovaginaの形成~腟短縮による性機能障害を予防するための工夫~」であります。

 木須先生は日頃は子宮悪性腫瘍に対する手術や診療を中心に行っていますが、婦人科手術は一般的には臓器の摘出術がほとんどである中で、女性生殖器の再建外科手術にも力を注いでいます。その一つの活動として、先天的に子宮や腟を欠損するロキタンスキー症候群の専門外来を立川病院で開設し、全国各地から数多くの先天性女性生殖器奇形の患者がこの専門外来に紹介され、同院では国内で最も造腟術や女性生殖器再建術を行っている施設として知られるようになっております。

 木須先生はこのように婦人科腫瘍医と生殖器再建外科医の両者の立場として活躍する中で、子宮頸癌における腹腔鏡下広汎子宮全摘術時の腟切除により、術後に腟短縮をきたすことで、特に若年女性の術後の性機能障害によるセクシャリティの低下の課題に着目していました。その課題を克服するために、木須先生はこれらの患者様に対して子宮摘出時に腹腔鏡下に造腟術を行い、腟を再建することで性交を可能にする技術を考案し、この新しい手術手技が多いに評価され今回の受賞に至りました。

 木須先生が現在全力を注いでいる子宮性不妊女性に対する子宮移植研究もこのような多面的な診療姿勢によって生まれた研究であるといえます。今後も婦人科悪性腫瘍に対する腹腔鏡手術や女性生殖器再建外科手術に対する木須先生のさらなる発展と取り組みが注目されます。

(文責 阪埜浩司)