はじめに

 近年の生殖補助医療技術の発展により、多くの不妊夫婦が子どもを授かる機会が増えてきております。しかしながら、生まれつき子宮のない女性や何らかの原因で子宮を失った女性にとっては、自分のお腹で子どもを育て、出産することはできないのが現状です。
 私たちはそのような女性が子どもを授かる一つの選択肢として、「子宮移植」という技術を考案し、2009年より子宮移植研究を行っております。
 子宮移植は第三者の方からの子宮の提供により、提供された子宮を移植することで妊娠・出産を目指す技術です。しかしながら、子宮移植には多くの医学的・倫理的・社会的問題が内包されています。私たちはそれらの課題を一つずつ明らかにしながら、子宮移植が子どもを授かるための新しい生殖医療もしくは臓器移植医療となり得るのか、その可能性を検証するために研究を続けております。言うまでもなく、子どもを授かることが女性の幸せというわけでは決してありませんが、子どもを授かる機会(権利)はすべての女性が持っていると考えております。
 この慶應義塾大学子宮移植研究 (Keio Uterus Transplantation Research)のホームページでは、主に私たち慶應大学チームにおける子宮移植研究の活動を公開し、さらには子宮移植に関する情報を社会に発信させて頂くことで、皆様に子宮移植の現状をご理解して頂ければと思っております。

 子どもを希望する女性のために。
 子どもを授かる機会をすべての女性に。
 そして、生まれてくる子どものために。

これらの思いからこの慶應義塾大学子宮移植研究は立ち上がりました。チーム一同、子宮移植が将来の新しい医療技術となり得るか、その可能性について慎重に模索しながら、本研究に取り組んでいきたいと考えております。

平成31年2月1日
慶應義塾大学子宮移植研究チーム 一同