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2017年

2017年9月18日

 
 1st Congress of International Society of Uterus Transplantationで木須伊織先生および菅沼信彦先生が子宮移植に関する講演を行いました。
 2017年9月17日-19日にスウェーデン・イエテボリで第1回国際子宮移植学会が開催されました。日本からは慶應チームである5名(慶大外科 尾原先生/松原先生、慶大産婦人科 的場先生、女子医大腎臓外科 加藤先生、木須)と京大チームである4名(京大菅沼先生、助産師 林さん、看護師 星さん、浜松医大医学生)で参加しました。
 まず初日はPreーCongressとして、スウェーデンチームがこれまで行った生体間での子宮移植の手術ビデオが公開され、手術手技に関して議論が交わされました。2日目から学会本番となりますが、学会初の記念すべき最初の講演として、木須がサルを用いた子宮移植の基礎実験に関するテーマで発表させて頂きました。我々は2009年から継続的にカニクイザルを用いた基礎実験を積み重ね、国際的にも最も多くのデータを有するチームとして非常に高い評価を頂いており、本講演でも多くの研究者に我々の研究に関心を持って頂けたと思っております。昼のセッションでは、菅沼先生が日本における子宮移植に対する倫理観について講演されました。日本における生殖医療の背景や現状、子宮移植に対する市民の意識調査、日本で設立された日本子宮移植研究会の紹介などを会場の笑いを取りながら講演されました。
 本学会では各国での子宮移植の臨床応用の現状が報告されました。現時点で世界では計38例の子宮移植が行われております。スウェーデンのチームにおいては、9例の生体間で行った臨床研究では、これまでに6名の患者様から計8名の子どもの出産に成功しております。子宮性不妊女性にとって、この成果は希望の光を与えてくれる福音になると思われます。一方で、スウェーデンのような基礎実験を10年以上行ってきたチームとは異なり、基礎実験を行わずに臨床応用を行う国も増えてきており、残念ながらそのような国を中心に子宮移植の失敗例も増えてきたということも明るみになってきました。そのため、十分な基礎実験や準備を行うことが必要であると改めて感じました。
 この1-2年で子宮移植という新たな生殖医療および移植医療が国際的にも注目を浴び、臨床応用が急速に展開され、今後も実施国が一気に増えることが予想されます。日本においても海外の情勢を鑑みながら、近い将来、子宮移植の実現が前向きに議論されることを切に願います。
(文責:木須伊織)
  • 参加した慶應チームメンバー
  • 参加した京大チームメンバー
  • 木須が初めて開催された学会の最初の講演を行う
  • 菅沼先生は日本における子宮移植に対する倫理観について
  • 木須は日本が行っている基礎研究について講演
  • 菅沼先生は会場の笑いを取りながらの講演を
  • 学会会場の様子
  • スウェーデンのマッツ先生と

2017年4月15日

  
 2017年4月15日広島で開催された第69回日本産科婦人科学会学術集会のシンポジウム(テーマ:生殖医学の最先端:不妊症治療におけるブレイクスルーを目指して)にてカニクイザルを用いた子宮移植実験の内容を発表しました。タイトルは、「霊長類動物における子宮移植技術の開発~子宮性不妊症に対する新治療の臨床応用に向けて~」であり、これまでにカニクイザルを用いて子宮移植に関わる様々な医学的課題を検証し、その成果を講演しました。日本産科婦人科学会は産婦人科領域では最も大きな学会であり、そのシンポジストとして選出されたことは、大変名誉であり、また産婦人科医にとって本研究が大変注目されているものであることがうかがえます。今後も学会レベルで本研究が議論されていくことを願っております。
  

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